フィリピの信徒への手紙 3章12~16節 「到達したところに基づいて進む」 加藤真規子
パウロはフィリピの信徒への手紙(以下フィリピ書)3:16で言います。「わたしたちは到達したところに基づいて進むべきです。」と。私はこの言葉に勇気をいただき、フィリピ書から学ばせていただきました。フィリピ書を選んだのは、この手紙が短くて余り抵抗がないことでした。しかし、今回よく読み返してみると、親しみやすく、励ましや教えを受ける聖句がたくさんありました。またパウロの人柄や信仰に触れることができ、信仰とは何かについても学ぶことの多いすばらしいものでした。この手紙を獄中で書いているとパウロは言います。そしてそのことをも福音の前進に役立ったと喜んでいるのです。回心したパウロにとって、キリストが崇められることが切なる願いなのです。
手紙を受け取ったフィリピの信徒について使徒言行録16:11から見てみます。パウロはシリアのアンティオキアから現在のトルコの内陸を通ってトロアスに行き、そこから船でマケドニアのネアポリスに着き、さらに内陸に入ったフィリピに至ったとあります。
フィリピの川のほとりに行くと、女性達がいて、その一人リディアが信仰を受け入れます。彼女の家族もバプテスマを受けました。誤解によって投獄されてしまうパウロでしたが、その獄の看守と家族も信仰者となったのです。フィリピ書を読みますと、その後信者も多くなり、物心両面でパウロを支えるような自立した教会になったことが分かります。
フィリピ書2:6~9には「キリストは、神の身分でありながら、神と等しい者であることに固執しようとは思わず、かえって自分を無にして、僕の身分になり、人間と同じ者になられました。人間の姿で現れ、へりくだって、死に至るまで、それも十字架の死に至るまで従順でした。このため、神はキリストを高く上げ、あらゆる名にまさる名をお与えになりました。」とあり、キリスト賛歌とでも言うべきすごい信仰告白です。
猛烈な伝道者パウロですが、テモテとエパフロディトや他の信徒への思いは、人間愛に満ち、心優しく思いやりにあふれた言葉が語られていてホッとします。また2:3~4「…へりくだって、互いに相手を自分よりも優れた者と考え、めいめい自分のことだけでなく、他人のことにも注意を払いなさい。」と人間関係をスムーズにする思いを語ります。
頑張って走りぬいているようにみえるパウロが、「わたしたちは到達したところに基づいて進むべきです。」と勧めてくれていることに、大きな慰めを受けました。これからも神さまのお導きの中でゆっくり進みたいと願っています。
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